経費(人件費)節減?!

人を雇うにはお金もかかるし、相手は生身の人間なので気も遣います。せめて人件費をもっと削減できないだろうか?そう考えるのも経営者として自然なことだと思います。

ただ、法律すれすれの、または法律違反の人件費削減の仕方はやはりオススメできません。後ろめたいことをしていれば、いつかもっと手痛いしっぺ返しを受ける可能性があるからです。また昨今、インターネット上にも情報が溢れており、雇われる側も法律知識を本気で入手しようとすればできる時代になっています。そこから労使トラブルに発展しかねないし、最悪の場合訴えられて裁判になることもあり得ます。

モメたり、訴えられたりすれば余計な時間やお金もかかりますし、人件費削減どころではありません。胡桃沢(ドラマ「ダンダリン」に出てくる社労士)のような社労士にそそのかされてもやってはいけませんよ(笑)

そもそも請負契約とは?

「労働者」として企業に雇われるのが「雇用契約」。その場合、「労働者」なので、「労働基準法」に守られ、残業すれば原則残業代がつきますし、残業にも限度時間が設けられています。

対して、「個人事業主」として企業と契約するのが「請負契約」です。よってその企業の「社員ではない」ので、労働基準法を始めとする法律は適用されません。雇ってるわけではないので高い社会保険料も払う必要なし。

ただ…「請負契約の場合でも、実態は労働者と変わらない」ことが多々あります。調査等入った場合、以下のような実態があれば、結局労働者とみなされてしまう可能性が高いです。

  1. 業務に関する指示をしている(例:○○をするにあたって、○○という機械を○○分動作させ・・・ といったこと)。
  2. 勤務時間や休暇等に関する指示をしている(例:勤務時間は〇時~○時まで、休憩時間は〇〇分で、○○に在席すること といったこと)。
  3. その企業の規定(服飾規定他)を守らせている。
  4. ルーチンワーク、肉体労働をさせている。

ドラマ「ダンダリン」でまずかった点

ドラマの中では、社労士の胡桃沢(風間俊介)が人件費削減のために、顧問先の社長梶川(松田悟志)に、派遣契約を請負契約に変えるよう指示しました。また、その時社長は、派遣社員だったみどり(西尚美)に、「直接契約にすれば派遣会社に払っているマージンがなくなるから手取りが増える」と言ってそそのかしています。

その際の契約書には「15時までに客室清掃を終えること」という一文があるのですが、15時に少しでも遅れた際に厳しく減額されたりして結局手取りが派遣社員時代より減り、みどりと一緒に請負契約に切り替えた元派遣社員全員を巻き込んだトラブルに!

ドラマ中では、みどりの元夫であり、こういった問題の監督機関である労働基準監督官の土手山(北村一輝)が登場し、梶川社長の策略は見抜かれてしまいます。

契約書はドラマで見る限りは法律通りに作られていたし、契約書をよく読まずに捺印したみどりたちも悪いのですが、本当によくないのが法律知識がないことに付け込んで丸め込もうとした梶川社長であり、それをそそのかした胡桃沢ですよね・・・。

結局、梶川社長の本音が「黙って今まで(派遣社員時代)通り、○時~○時まで働いてくれて、経費削減できればいい」だったことが、プロの労働基準監督官によって暴かれ、元の契約に戻ってしまいました。

やはり後ろめたいことはよくありません。
経費削減は大切なことではありますが、方法は選びましょう。

請負契約は「労働者」ではないの? ~11月27日放送の「ダンダリン」(日テレ系)より~